網走にて
「咋日は気まぐれ流氷がまた接岸して、餌場を失ったゴメ(オオセグロカモメ)が飛び交っているといっていましたが、今日病院の三階から見る海はエメラルドの様に輝いて、水平線だけがテープを張ったように真白です。
まもなく蜃気楼が見えるようになるでしょう」。
これは流氷が岸を離れる頃に入院した、網走の知人からの便りです。
いつか見舞いに寄ったときは、まだ真白な流氷で、「この方向に屡気楼が見えるんです」と言われていました。
氷を浮べた冷たい海水と、暖かい春の大気の間にできる蟹気楼は、流氷が沖に見えなくなった頃に沖に現われるのだそうです。
網走という地名は、網走川の河口にある立岩に名付けられたもので、祭壇のある島という意味のチパシリからでたといわれています。
昔、海漁に出るときに、この立岩に豊漁と平安を祈願したところであるといいます。
「昔、白い大きな鳥が、"チパシリチパシリ"と哺いてとんだ」
・・・とか、この岩の上で神様が"チパシリチパシリ"といって踊ったなどという伝説があります。
地名の意味がわからなくなると、伝説がつくようですね。
この街は裏通りに入っても、整った静かなたたずまいを見せていて、めずらしく私の好きな街の一つです。
札幌ツアーもいいですが、私としてはぜひ網走をおすすめします。